和歌山ゾーン「空間」

和歌山ゾーン「空間」

空間 - 上質な和歌山 -

関西パビリオンの中に「和歌山」という空間を創造する。

紀伊山地の巨木を彷彿とさせる映像装置「トーテム」は紀州塗りで仕上げられ、「食の体験」を供するテーブルとチェアは紀州材を使用。

空間を構成する様々な要素に、和歌山県ならではの素材と伝統的技法を活用し、それでいて世界に通用する「上質な和歌山」を表現する。

吉本英樹

1985 年和歌山県生まれ。2010 年東京大学大学院航空宇宙工学専攻修士課程、2016 年英ロイヤル・カレッジ・オブ・アートIDE 専攻博士課程修了(デザイン工学博士)。2015 年ロンドンにてデザインスタジオTangent を設立。2020 年東京大学・先端科学技術研究センターにて先端アートデザイン分野を共同設立し、ロンドンと東京をベースにさらに活動の幅を広げる。デザインとエンジニアリングの発展的な融合を得意とし、世界的なラグジュアリーブランドに多くのデザインやコンセプトを提供するほか、テクノロジー起点の新規事業開発から、街づくりに関わるまで、幅広い領域において活躍する。近年では、日本の伝統工芸と先端技術を繋ぐ国際的なイニシアティブ「Craft x Tech」を創立し、また個人としても、伝統工芸とのコラボレーションによるアート作品を積極的に発表するなど、日本文化の進化・継承にも取り組んでいる。

空間を構成する要素

紀州塗りの映像装置「トーテム」
紀州塗りの映像装置「トーテム」
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紀州材を使った天板と椅子
紀州材を使った天板と椅子
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押し花アート
押し花アート
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紀州高野組子細工
紀州高野組子細工
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高野口パイルのソファ
高野口パイルのソファ
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県内芸術家の版画
県内芸術家の版画
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アテンダントユニフォーム
アテンダントユニフォーム
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紀州塗りの映像装置「トーテム」

  • トーテム

紀伊山地の深い森林の奥にたたずむ巨木を彷彿とさせる巨大な8本の映像タワー「トーテム」。和歌山ゾーンの象徴ともいえるこのタワーは、それ自体が和歌山の伝統工芸である「紀州塗り」によって仕上げられた芸術作品。「紀州漆器」は、福島県「会津塗」、石川県「山中塗」「輪島塗」と並び、日本三大漆器の一つに数えられ、和歌山県海南市の黒江地区を中心に生産されることから「黒江塗」とも。室町時代、紀州木地師によって渋地椀が作られたのが始まりといわれ、江戸時代になって一層盛んに。 明治時代以降、一時は衰退するかのように見えたが、蒔絵をはじめとした技術の改良・導入により、現在も和歌山県を代表する伝統産業として「上質な和歌山」を体現する。


紀州漆器協同組合(外部リンク)

紀州材を使った天板と椅子

和歌山ゾーンの奥に位置する「食」のエリアでは、和歌山が誇る素材である「紀州材」をふんだんに使ったカウンターテーブルとチェアが佇む。和歌山は、県土の約76%を森林が占め、和歌山の古い国名である「紀の国」は、「木の国」から転じたものとも。神々の鎮まる紀伊山地から採取される紀州材は、豊かな表情、暖かい手触り、爽やかな香りがあり、単なる建材だけではなく様々な用途に使用される。焼き杉の技法によって重厚な存在感を得た長さ約9mのカウンターテーブルと今までにない独特なデザインのチェアは、紀州材のポテンシャルをここに伝える。


紀州材(外部リンク)

和歌山県木材連盟(外部リンク)

こども達の押花アート

「和歌山の万博出展は県民総参加」。中央ステージや各種催事には、県民の方々が出展・登壇するが、県民とは大人達だけではなく、こども達も存在する。その理念に基づき、和歌山ゾーンでは、空間を構成する一つの要素を和歌山のこども達と共に制作した。令和6年の夏に開催したワークショップにおいて、和歌山のこども達が地域の草花を採取し押花に。大人が感じるものとはちょっと違う、こども達の“素敵”の詰まった草花を素材に、和歌山県出身の、東京で活躍するフラワーアーティストである柊早苗氏が美しくレイアウト。樹脂に封入し、素晴らしい作品に仕上げる。


押し花ワークショップの様子(メイキングムービー)

紀州高野組子細工をあしらった什器

様々な作品を展示するための什器。その什器に、和歌山の伝統工芸である「紀州高野組子細工」をあしらった。「組子」とは、釘などを使わずに、細かく割った木材を手作業で幾何学模様に組み上げる伝統的な装飾技法。「紀州高野組子細工」は、江戸時代に京都より高野山に伝わった技術を当地の職人が継承・発展させたもので、木材に高野六木(マツ、モミ、ツガ、スギ、ヒノキ、コウヤマキ)を用い、幾何学模様だけでなく、山形や波状表現などの新たな技術を生み出してきたもの。今回の作品は、和歌山県名匠表彰も受けた池田秀峯氏が手がけ、山上の聖地高野に真言密教のシンボルとして建てられた「根本大塔」と高野の山々そしてその宇宙観を独自の技法により表現。


池田秀峯氏プロフィール(外部リンク)

高野口パイルのソファ

「高野口パイル」とは、和歌山県の旧高野口町で生産されたパイル織物、編物の総称。和歌山ゾーンでは、その高野口パイルを使ったキューブ型ソファを設置する。かつて平安時代後期から高野山への参詣口だったことから、その名がついた高野口。繊維産地としての歴史は古く、江戸時代の農家の主婦たちが自分たちのために手がけた織物「川上木綿」に始まり、耕地の少ない農村の副業として自立、紀州藩の綿花栽培推奨もあってますます盛んに。明治に入ると、地元の前田安助がスコットランド等の「シェニール織」を元に特殊な織物「再織」を創案。大正初期には、さらに技術研究が進んで「パイル織物」へと発展していった。 近年では、毛皮を模したエコファー素材でも注目を集め、国内外のハイブランドが採用するほど。 


紀州繊維工業協同組合(外部リンク)

県内芸術家の版画

和歌山ゾーンの一つの壁面。高さ4m、横幅6mの広大な壁を、県内在住の芸術家である番留京子氏の作品が彩る。番留氏は、熊野の自然に魅了され、千葉県から和歌山県新宮市熊野川町に移住した版画作家。アーティストとして活動する傍ら、登山ガイド、熊野の語り部も担う。熊野の自然から発想を得るその作風は、力強く、見る者を圧倒する。今回の作品は、番留氏がモチーフとしてよく用いる熊野で信仰される導きの神「八咫烏」が大きく描かれ、多彩な表現をされた和歌山の山と海を、太陽のように温かく見守る。熊野に住む版画作家の目から見える「和歌山百景」がここに。


番留京子氏Instagram(外部リンク)

アテンダントユニフォーム

来館者を迎えるアテンダントユニフォームには「和歌山ニット」を活用。和歌山ニットは、円形に編み針が配置された「丸編み機」による製造が主流で、丸編み機により作られる生地は、ニットの中でも特に伸縮性に優れ、ソフトな風合いとなるのが特徴。ユニフォームのデザインは、その特徴を活かしたリラックスシルエットで、上下統一感のあるセットアップスタイル。ユニフォームと合わせてコーディネートするバッグには「高野口パイル」を活用。高野口パイルは、伸縮性に富み、摩擦に強く、さらにアザラシの毛皮と間違えるほどに肌触りがよいのが特徴。バッグも、滑らかでずっと触れていたくなる味わいのあるものとなっている。


和歌山ニット工業組合(外部リンク)

紀州繊維工業協同組合(外部リンク)

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