1泊2日で熊野本宮大社を歩いて目指す!40kmの熊野古道ロングコースを紹介!(滝尻王子~熊野本宮大社)
熊野三山の聖域のはじまりとされる「滝尻王子」をスタートし、熊野三山の一つ「熊野本宮大社」まで、1泊2日で歩くロングコース。
2日間で約40km歩きますので、歩きごたえもあり、また熊野古道中辺路の名所をふんだんなく訪問することができる行程となります。
公共交通を利用する場合、滝尻王子まではJR紀伊田辺駅からのバスで、車の場合は、滝尻王子周辺に無料駐車場があるので停め置くことも可能です。
初日は滝尻王子から近露王子、もしくは継桜王子まで歩き、「近露」「野中」エリアで宿泊。
2日目は早朝に出発して、熊野本宮大社まで一気に歩きます。
熊野本宮大社到着後、そのまま帰路につく場合は、「本宮大社前」バス停16時40分発がJR紀伊田辺駅行の最終です(JR紀伊田辺駅18時50分着)。
「本宮大社前」バス停18時58分発がJR新宮駅行の最終です(JR新宮駅20時22分着)。
※令和6年4月現在の時刻表による
又は、2日目、熊野本宮大社まで歩いた後、本宮でもう1泊するのもお勧めです。
本宮には、日本最古の温泉ともいわれ熊野詣の湯垢離場(ゆごりば)としても栄えた「湯の峰温泉」、大塔川の川原に湧く野趣溢れる温泉として人気の「川湯温泉」、大露天風呂が人気の「渡瀬温泉」と、趣きの異なった3つの温泉があり、それぞれに旅館・民宿が集まっています。
距離:約40km 標準歩行時間:各日約6時間30分~7時間
※歩行時間に休憩時間は含まれていません。
【コース全体概要】
※詳細ウォークマップはこちらから(滝尻王子~継桜王子・継桜王子~熊野本宮大社)
- 春
- 夏
- 秋
- 冬
- 所要時間
- 1泊2日
- 移動手段
- 徒歩
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滝尻王子
トイレ、駐車場あり
熊野九十九王子の中でも特に格式の高い「五体(ごたい)王子」の一つとして重視された王子。
熊野御幸(くまのごこう)の道中、宿所が置かれ、盛大な歌会(うたかい)などが催された場所で、『中右記』には「初めて御山(みやま)の内に入る」とあり、ここが熊野三山の結界(霊域の入り口)とされた要所であることが分かります。
Column
熊野古道館
滝尻王子の向かいにある、熊野古道等の観光案内や歴史紹介を兼ねた休憩施設です。
観光案内・ビデオ語り部・歴史展示・休憩・グッズ販売の5つのコーナーがあり、駐車場やトイレもありますので、ウォークの拠点施設としてぜひお立ち寄りください。
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不寝王子(ねずおうじ)
滝尻王子から背後の剣ノ山の坂道を400mほど登ったところにある王子。
不寝王子の名称は中世の記録にはなく、元禄年間(1689年)の「紀南郷導記」に「不寝王子という小社の跡があって・・・」と記されているだけで、その存在は不明確とされています。
展望台
剣ノ山経塚跡から下り、少し登った先に展望台があるので、ここで眺望を楽しみながら一休みしましょう。
高原熊野神社
熊野古道沿いの神社では現存最古の神社。
本殿は一間社春日造(いっけんしゃかすがづくり)、檜皮葺(ひわだぶき)で、境内には樹齢1000年といわれる楠の大木もそびえています。
Column
高原霧の里休憩所
高原熊野神社のすぐそばには、駐車場なども併設した「高原霧の里休憩所」があります。施設には、トイレや自動販売機があり、軽食等の販売もしていますのでぜひお立ち寄りください。
また、高原は絶景スポットとしても有名で、休憩所からは里山と果無(はてなし)山脈に連なる山々の美しい眺望を楽しむことができます。
大門王子
後鳥羽上皇の熊野御幸に随行した藤原定家の旅行記である 『熊野御幸記(くまのごこうき)』等でも紹介されている王子。当時は王子付近に仮宿所があったとの記録が残っています。
十丈王子
トイレあり
室町時代の宝篋印塔(ほうきょういんとう)の残欠が残されており、古記録の王子名に「重點」や「重照」と記したものもある王子です。
大坂本王子(おおさかもとおうじ)
逢阪峠のふもとにあり、坂が急峻なため大坂の名がついたと言われています。
王子跡には石造の笠塔婆(かさとうば)が見られます。
ここを越えると、休憩所である道の駅熊野古道中辺路までは1km弱で到着します。
牛馬童子口バス停(道の駅 熊野古道中辺路)
花笠をイメージした物産販売所で特産物などのお土産や食事類を販売するほか、座敷の休憩所も併設。熊野古道中辺路沿いに位置し、トイレも整備されているので、古道歩きの途中に立ち寄るのにぴったりのスポットです。また、国道311号線沿いの道の駅でもあるので、ドライバーにも人気の休憩スポットとなっています。
中辺路のシンボル的存在である「牛馬童子像」までは歩いて1km弱、20分程度の距離です。
※営業時間等に関する情報は2025年2月時点のものです
- 住所
- 田辺市中辺路町近露2474-1
- 電話番号
- 0739-65-0671
- 営業時間
- 9時~17時
- 定休日
- 1月1日、2日、3日
12月~2月の毎週木曜日
牛馬童子像(ぎゅうばどうじぞう)
第65代天皇であった花山法皇(968~1008年)が熊野詣を行った際の姿と伝承されている高さ約50cmの像です。
その素朴で愛らしい風貌は中辺路のシンボル的存在にもなっています。
隣に並ぶ石像は「役行者」であると言われています。
近露王子(ちかつゆおうじ)
トイレ、駐車場あり
近露王子は参詣者の禊場(みそぎば)であり、熊野詣の際には川で心身を浄める水垢離(みずごり)を行った後、王子に参拝することが習わしであったと言われています。
また、 近露は当時、本宮の手前最後の宿所として栄えた場所で、今もその名残で、民宿やゲストハウスなど様々なタイプの宿を見つけることができます。
1泊2日の行程の場合、こちらで宿泊することも可能ですが、その分翌日の距離が長くなりますので、ご自身の体力と相談しながら宿泊場所は検討するようにしてください。
比曽原王子
近露王子から約2キロメートル、旧国道の左上手に享保8年(1723年)に紀州藩が建てた結晶片岩の石碑があり、碑面に「比曽原王子」の文字があります。
野中の清水
全国名水百選にも選定されている 野中の清水。
継桜王子に向かう前に、道を外れ少し下るので寄り道する形になりますが、ぜひお立ち寄りください。
継桜王子(つぎざくらおうじ)
トイレあり
昔の王子社を偲ばせる荘厳さを保っている王子の一つ。
王子社名の初見は、『熊野御幸記(くまのごこうき)』ですが、天仁2年(1109年)の『中右記』に「道の左辺に続桜樹あり、本は檜(ひのき)なり」と記されており、この時には既に王子社があったと考えられています。
Column
とがの木茶屋
継桜王子跡の横にある、かやぶき屋根が特徴の休憩所です。
こちらでほっこり一休みしてみてはいかがでしょうか?
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1日目の宿泊について
今回の滝尻王子~熊野本宮大社を1泊2日で歩く行程を考えたときには、継桜王子周辺の民宿やゲストハウス等で宿泊することがお勧めです。
宿の情報については、下記宿泊情報サイト等をご参照ください。
継桜王子から徒歩で約15分(1.0km)
中川王子
王子社の祠は早く退転していたようですが、明治時代にはまだ約100平方メートルの社地があり、無格社中川王子神社として認められていました。
明治41年(1908年)に近野神社に合祀され、神社はここから消滅したとのことです。
小広王子
小広王子を越えると、三越峠までは、草鞋(わらじ)峠と岩上峠(現在通行止めで迂回路を進みます)の2つの峠を越える必要があり、アップダウンが激しくなります。体力と足元には十分注意して進みましょう。
また、小広王子を過ぎると、案内板に沿って舗装路から離れて林の中を下りますが、すぐに舗装路に合流し、合流したところにトイレがあります。
この先しばらくトイレがないので、ここで済ませておきましょう。
途中トイレあり
能瀬川王子
熊瀬川王子の名は、鎌倉時代末期の「熊野縁起」にのみ見えます。
熊瀬川の地名は、草鞋峠の登り口付近一帯を指すため、王子跡はこことするのが妥当ですが、その他の文献には見えないので、小広王子と同じとする意見や王子社の存在そのものを疑問視する意見もあります。
徒歩で約90分(4km)
蛇形地蔵
石面に蛇の模様がついている蛇形石を光背代わりにした地蔵が蛇形地蔵(じゃがたじぞう)です。
喘息や腰痛等の効験が伝えられています。
湯川王子
湯川王子は、岩神峠のふもと、湯川川の源流域の谷間にあり、参詣の途上で宿泊や休憩をすることが多く、皇族・貴紳の宿所が設けられていました。
現在の社殿は昭和58年(1983年)に再建されたものです。
三越峠
トイレと東屋がありますので、こちらで一息つくことが可能です。
船玉神社
トイレあり
三越峠から猪鼻王子に向かい、赤木越えの分岐点を過ぎたところに船の神様を祭った船玉神社があります。
なお、トイレは船玉神社の手前、赤木越えの分岐点のところにあります。
猪鼻王子(いのはなおうじ)
船玉神社を越え、林道から分岐して右下へ下った場所にある王子です。
道標に気付かず、林道をそのまま真っすぐ過ぎてしまわないよう注意してください。
発心門王子(ほっしんもんおうじ)
発心門王子は数ある王子社の中でも特に格式の高い「五躰(ごたい)王子」の一つとして格別の崇敬を受け、ここからが熊野本宮大社の神域とされた場所です。
天仁2年(1109年)の『中右記』にも発心門王子のことが記されており、この頃にはあったと見られています。
参道の奥に石積みの社殿跡があり、近年ここに王子社が新たに造営されました。
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発心門王子バス停
発心門王子から5分ほど下ると発心門王子バス停があります。
バス停にはトイレや東屋、自動販売機などもありますので、小休憩するにはぴったりです。
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水呑王子
もとは三里小学校三越分校の敷地であったところに「水呑王子」と刻まれた緑泥片岩の碑が立っています。
Column
道休禅門
水呑王子から伏拝王子までの道中にある道休禅門(どうきゅうぜんもん)。
当時、熊野詣は命がけの旅であり、道半ばで行き倒れた参詣者もいたことから、その方々の供養のため建てられたお地蔵様が道休禅門地蔵です
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伏拝王子(ふしおがみおうじ)
トイレあり
遠く海山を経て全国各地から訪れた熊野詣の人々が、ここに辿り着き、山並みの向こうに初めて熊野本宮大社(現在の大斎原(おおゆのはら)) を望んだとき、思わず土下座して伏し拝んだといわれたところからその名がつきました。
また、王子前には「伏拝茶屋」という無料休憩所があり、ドリンクや軽食、簡単なお土産の販売などもしています。トイレもありますので、ここで一息ついてはいかがでしょうか?
祓殿王子(はらいどおうじ)
熊野本宮大社の直前にある王子で、ここで旅の汚れを祓い清めるための潔斎(けっさい)をして、本宮の神前へ参拝する覚悟を新たにする所であったといいます
熊野本宮大社
ユネスコの世界遺産『紀伊山地の霊場と参詣道』に登録されている熊野本宮神社。
神秘的な力を感じることのできる熊野三山の一つで、かつては熊野の神といえば本宮のことを表しているとされてきました。
一歩足を踏み入れると、自然の息吹と歴史の重みがゆったりとした時間の流れとともに感じられます。
桧皮葺で白木造りの社殿は国の重要文化財に指定され、主祭神である家都美御子大神(けつみみこのおおかみ、スサノオノミコト)が祀られており、毎年多くの参拝者が訪れます。
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旧社地・大斎原(おおゆのはら)
明治22年(1889年)の大洪水まで熊野本宮大社のあった旧社地。神が舞い降りたという大斎原は、近年ではパワースポットとして人気を集めています。
シンボル的存在の大鳥居は、高さ約34m、幅約42mと見るものを圧倒する迫力があります。
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熊野本宮館
トイレ、駐車場あり
本宮でもう1泊するには
熊野本宮大社参拝後、そのまま本宮で1泊する場合は、熊野本宮温泉郷のお宿にぜひ宿泊ください。
熊野本宮温泉郷には、「湯の峰温泉」、「川湯温泉」、「渡瀬温泉」という3つの趣向の変わった温泉がありますので、詳細は下記リンク先等をご参照ください。