女性のための参詣道「女人道」(不動坂口女人堂~奥の院)をめぐる
高野山は八葉の峰と呼ばれる1,000m前後の山々に囲まれた山上の盆地で、明治5年に女人禁制が解かれるまで、厳しく女性の入山を規制してきました。高野山への参詣道として俗に「高野七口(こうやななくち)」と呼ばれる街道が通じており、かつてはその各入口に女性のための籠り堂として女人堂が建てられました。
女人禁制のため、高野山内に女性が立ち入ることはできませんでしたが、多くの女性たちが、「お大師様にお祈りがしたい」、「修行をしている息子の姿を一目でも見たい」・・・等々、様々な思いを背に女人堂から女人堂へ八葉蓮華の峰々を辿ったといわれ、この道を「女人道(にょにんみち) 」と呼んでいます。
このコースでは、「金剛峯寺前」バス停からスタートし、現存する唯一の女人堂である「不動坂口女人堂」を経て「奥の院前」バス停までの女人道を巡ります。
距離:約8km 標準歩行時間:約2.5時間(休憩や見学を含めるとプラス1時間ぐらいが目安)
※金剛峯寺は有料の内拝(大人1000円)を行う場合は、プラス1時間ぐらい必要です
※奥の院も合わせて参拝する場合は、「奥の院前」バス停から奥之院御廟までは更に片道約1km歩きます。
なお、詳細なウォークマップはこちらをご参照ください
- 春
- 夏
- 秋
- 冬
- 所要時間
- 約2時間30分(歩行時間に休憩時間は含まれていません)
- 移動手段
- 徒歩

アクセスについて
高野山へは、なんば駅から南海高野線で「特急こうや」(もしくは急行電車)に乗り、極楽橋駅まで移動します(「特急こうや」の時刻表等はこちらから)
極楽橋駅からは高野山ケーブルカーに乗り換えて高野山駅に向かいます。高野山ケーブルカーは328mの高低差を、約5分で一気に昇降するケーブルカーで、現在の車両は1964年に巻上装置一式とともに登場したもので、当時は日本最大級でした。また、極楽橋駅は高野山聖域と俗世を分ける境界だという言い伝えがある駅で、フォトジェニックな駅としても有名です。電車側の「はじまりの天井絵巻」には極楽鳥や高野山の動植物が描かれ、ケーブルカー側の「宝来天井絵」には縁起物が美しく描かれていますので、ぜひ出発前に御覧ください。
高野山駅到着後は、バスに乗り換え、「金剛峯寺前」で下車します(高野山内路線バス情報はこちらから)。
Column
パーク&ライドという方法も・・・
高野山内には無料の駐車場が豊富に用意されています(ただし、土日祝などはすぐに埋まってしまうため注意が必要)。今回のコースであれば、ゴールの奥の院前バス停に広い無料駐車場が整備されていますので、こちらで車を停めて、路線バスに乗り換え金剛峯寺前で下車するのもアリ。
ただし、冬季期間中は高野山は雪が積もったり凍ったりするため、公共交通を利用するほうが無難です。

金剛峯寺
歴史が息づく高野山真言宗の総本山
金剛峯寺は、山のほぼ中央に位置する高野山真言宗の総本山で、全体の宗務を司っている寺院です。
境内には、約2,340平方メートル(約707坪)の面積を持つ日本最大級の美しい石庭「蟠龍庭」があり、静かな雰囲気の中でゆっくりと散策することができます。歴史ある建築や美しい庭園をじっくりと楽しみ、心の安らぎと荘厳さを体感してみてください。
- 住所
- 伊都郡高野町高野山132
- 電話番号
- 0736-56-2468
- 営業時間
- 8:30~17:00(受付16:30まで)
不動坂口女人堂(ふどうざかぐちにょにんどう)
トイレあり
不動坂口女人堂は、高野山に残された、建造物が残る唯一の女人堂です。明治時代に高野山の女人禁制がとかれるまでの間、女性の巡礼者へ宿を与えるだけでなく、不動坂口女人堂は、不動坂と高野山の間や、女人道を旅する老若男女が集い、休息する場所としての役目を果たしました。
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女人道の道標について
女人道の道中には写真のような道標がポイントポイント毎に設置されています。ここに記載されているポイント番号は、和歌山県街道マップに掲載されている番号とも一致していますので、現在地の確認などにご活用ください。

弁天岳
弁天岳は高野山を取り囲む八葉蓮華の峰々のうち、外八葉の一つに数えられ、山頂には高野七弁天の一つ「嶽弁天社(だけべんてんしゃ)」が祀られています。
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弁天岳から望む根本大塔
弁天岳からは遠く、根本大塔を望むことができます。
かつての女性巡礼者の方々もここから、たどり着くことのできない高野山に向けて祈りを捧げたのではないのでしょうか。

大門口女人堂跡
高野七口の一つ「町石道(ちょういしみち)」が通る大門横には、「龍神口女人堂」が建てられていたこともあり、大門口女人堂はその大門よりも北側のここに女人堂が建てられたと言われています。
途中大門にトイレあり
龍神口女人堂跡
この女人堂は、龍神温泉を経て熊野方面と高野山を繋ぐ「奥辺路(おくへち)龍神道」や有田川流域と高野山を結ぶ「有田道」の入り口に設けられた女人堂です。
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助けの地蔵
龍神口女人堂跡から100mほど進むと「助けの地蔵」と呼ばれるお地蔵さまが祀られています。
助けの地蔵は、困ったことがあったときに、一生懸命祈りを捧げる者の願いを聞いてくれると言われているお地蔵様で「一願地蔵」とも呼ばれています。

相の浦口女人堂跡(あいのうらぐちにょにんどうあと)
相の浦口は、高野山の南方に位置する相の浦集落と高野山を繋ぐ古道の入り口にあたります。
大滝口女人堂跡
大滝口女人堂は轆轤(ろくろ)峠に位置し、高野山と熊野を結ぶ熊野古道小辺路(こへち)の入口に位置しています。お堂は小さいものでしたが、小辺路や女人道をたどる参拝者にとって大切な休憩所となっていました。
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轆轤峠
轆轤峠は熊野本宮大社から小辺路を経て高野山を訪ねる参詣者が初めて高野山の堂塔伽藍を目にした場所であり、その光景を見ようと「首をろくろ首のように伸ばした」ことに由来すると言われています。
また当時の様子は、写真のように「紀伊国名所図会」にも描かれています

円通津寺(えんつうりつじ)
大峰口女人堂跡
大峰口女人堂は高野山と山岳修行の地、大峰山を結ぶ大峰道の入り口にあたります。ここから約3km先の摩尼峠手前の女人道沿いには、修験道の開祖とされる役行者の座像が安置されており、高野山と大峰山の関係の深さを伺い知ることができます。
奥の院前バス停
トイレあり
本コースのゴールです。
バス停付近には、お土産屋さんやカフェ、食事処などもありますので、ぜひ旅の最後にお立ち寄りください。
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奥の院参拝
奥之院は、弘法大師空海の御廟がある場所で、壇上伽藍と並ぶ高野山の二大聖地の一つです。弘法大師は853年に62歳で入定し、以来1200年にわたってこの地で永遠の瞑想を続けていると信じられています。
奥の院参道入口にあたる「一の橋」から御廟までは約2キロメートルの道のりですが、今回のゴール地点の奥の院前バス停(中の橋)から御廟までだと1km程度です。
樹齢七百年を超える杉木立が生い茂る参道は、20万基以上の供養塔や墓石が並んでおり、ゆっくり見て回るといくら時間があっても足りないぐらいですが、ご自身のお帰りの時間と相談しながら奥の院での参拝時間を決定するようにしましょう。
