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いまや老若男女でにぎわう一大観光地の高野山。かつては山奥に秘められた密教の中心地であり、修行道場でした。

女性は、空海がつくりあげた壇上伽藍と奥之院などの聖域に足をふみ入れることが禁じられていたものの、そんな逆境もなんのその。奥之院をとり囲む高野三山をめぐり歩いたり、参詣道の入口にある女人堂に籠って真言を唱えたりと、ギリギリまで近づいては独自の信仰のスタイルをつくりあげていきました。

▲寺院の参道らしく、美しい杉林が続くトレイル。三つの山々を縦走するため起伏はあるものの、道はよく踏まれていて歩きやすい。分岐が多いので地図は必須。

高野三山を結ぶ道を女人道と呼びます。厳かな祈りの道なので、さすがに山へ分け入ると歩いている観光客は見当たらない場所。修験者や山を嗜むハイカーにしか出会わない極上のトレイルが楽しめます。人出の多い高野山だからこそ、静けさのなかを歩けるという意味でこの道の価値はとても高いと思うのです。

山旅のスタート地点は、一の橋。奥之院の聖域に足を踏み入れると、名だたる戦国大名の墓所が集まる独特の雰囲気に圧倒されます。お目当ての大名のお墓参りをしたら、いよいよ弘法大師御廟で空海さんにもごあいさつ。ここから女人道へと入り、摩尼山（まにさん）、楊柳山（ようりゅうさん）、転軸山（てんじくさん）の順で縦走がはじまります。少しでも空海の近くで祈りを捧げたいと願った女性たちの思いを感じながら、高野参詣道の歩き旅をじっくり仕上げていきましょう。

夜と朝は、高野山の僧侶の気分が味わえる宿坊体験が最高。古の密教の都で、新しい旅の体験を自らつくる喜びが、ここにあります。

▲女人禁制の時代には、七つの登山口すべてにあった女人堂。現在は不動坂口のみ残っている。

▲国指定史跡地域である壇上伽藍は、空海が心血を注いでつくりあげた特別な場所。 じっくりと拝観しよう。なかでもひときわ目立つ建立物が根本大塔だ。青い空と白い雲に朱色が映えるシンボリックな姿は荘厳で、あらゆる旅人の目を奪う。

▲高野山真言宗の総本山、金剛峯寺。もともと100 以上の寺院が密集する山そのものを金剛峯寺と呼んだが、明治になってひとつの寺院の呼称となった。

▲数多の戦国大名が眠る荘厳な奥之院の三山に囲まれた最深部に位置する弘法大師御廟。永遠の瞑想に入った空海の魂は、いまなおそこに在る。

華やかな精進料理をいただける宿坊。名物のごま豆腐を目当てにここを訪れる人も多いとのこと。部屋の窓からはきれいな庭を眺められます。個人でも個室利用の相談可能。

宿坊 成福院

住所：和歌山県伊都郡高野町高野山593

 電話：0736-56-2109

 料金：一泊二食付15,500円～

 ※部屋、料理によって異なる

創業約100 年、老舗の豆腐専門店。できたての生ごま豆腐を使った「ごまとうふ懐石五彩（2,200 円）」は数量限定の人気メニュー。そのほか、お土産にぴったりな豆腐スイーツなども展開しています。

角濱ごまとうふ総本舗 小田原店

住所：和歌山県伊都郡高野町高野山729

 電話：0736-26-8895

 営業時間：9:30～17:00

 定休日：不定休