【熊野古道・紀伊路】“熊野路第一の美景”と称賛される名所も楽しめる、歴史と景勝の道へ

紀伊路は、中辺路へと至るメインルートとして親しまれてきた歴史ある道。アウトドアスタイル・クリエイターの四角友里さんが、いにしえに思いを馳せながら、紀伊路の名所を巡った模様をお届けします。


教えてくれたのは
 四角友里さん
 アウトドアスタイル・クリエイター。講演や執筆のほか、自身のブランド「MOUNTAIN DAISY PRODUCTS」のディレクターを務めるなど山の魅力を発信する。Instagram@yuri_yosumi

【熊野古道・紀伊路】“熊野路第一の美景”と称賛される名所も楽しめる、歴史と景勝の道へ

いにしえに思いを馳せながらの名所巡り

熊野詣の人々が、京都や大阪から熊野三山を目指し歩いた「紀伊路」。私が訪れたのはその一部。海南駅から藤白神社、所坂王子までの6㎞ほどの道のりでした。

約2時間10分
 海南駅
 ↓35分
 藤代王子
 ↓35分
 筆捨松
 ↓10分
 御所の芝
 ↓25分
 橘本王子
 ↓10分
 福勝寺・裏見の滝
 ↓15分
 所坂王子


access
 行き:和歌山駅からJR紀勢本線で海南駅まで約13分。帰り:所坂王子から橘本バス停まで徒歩7分。海南市コミュニティバスでJR加茂郷駅まで約11分。足を伸ばしてJR紀伊宮原駅までのルートをたどるのもおすすめ(海南駅〜紀伊宮原駅のコースタイム約4時間45分)

まずは熊野の聖域への入口、一の鳥居である藤白神社へ。詠まれた歌や残された史跡から、熊野信仰の歴史を紐解くことができます。そのあとは一丁地蔵にあいさつをしながら「藤白坂」へ。竹林に囲まれ、古道の風情が残る山道を登り切ると、「御所の芝」に到着します。

藤白坂

▲紀伊路第一の難所と呼ばれる藤白坂。舗装路の多い紀伊路のなかでも古道の風情が色濃く残る。筆捨松などの遺跡も。

御所の芝

▲地蔵峰寺裏の御所の芝と呼ばれる景勝の地。『紀伊国名所図会』には「熊野路第一の美景なり」と称賛されている。

ここは白河上皇が熊野御幸の休息をとった跡で、和歌の浦などの絶景を愛でたのだそう。いま海南の沿岸は臨海工業地帯になっているものの、淡路島、四国、六甲の山などが見渡せ、美しさは変わらぬままとなっています。そのあとはみかん畑の山道を登り下り。和歌山ならではの景色を味わえます。

道中の名所にはさまざまなエピソードも。藤白神社に隣接する鈴木屋敷は全国の〝鈴木さん〞のルーツとされ、平安時代に熊野から移り住んだ鈴木一族がここを拠点に熊野信仰を各地に広めたのだそう。また、橘本神社には弥生時代にみかんの原種である橘の木を持ち帰った田道間守命が祀られています。いにしえに思いを馳せながら、現代の自分につながっているような名所巡りができるルートです。

藤白神社

▲藤白神社。熊野九十九王子のなかでもとくに格式が高い藤代王子の旧址。

橘本神社

▲「みかんとお菓子の神様」、田道間守命が祀られている橘本神社。

  • ▲道中のみかん畑。海南市下津町では、木造土壁の蔵で2~3カ月間熟成された蔵出しみかんが特産。
  • ▲熊野古道や高野参詣道を楽しむアイテムのひとつ、押印帳。スタンプは王子や神社などに設置されているので、スタンプラリー感覚で集めてみよう。簡単な地図付き。

周辺のお立ち寄りスポット ー 旬食材を山歩き後のごほうびに「KAMOGO」

JA施設を改装したカフェ。地元産食材を使った季節限定メニューも多く、山椒マヨネーズが利いたホットドッグ(1,000円)や地元豆腐店の豆乳を使ったアイスクリームドーナツ(430~480円)などが人気です。

KAMOGO

住所:和歌山県海南市下津町方372-1

 電話:073-488-6925

 営業時間:10:00~18:00(L.O.17:30)

 定休日:火・水曜

周辺のお立ち寄りスポット 一組限定の貸し切り宿でくつろぐ「うたげHANARE」

一棟貸しで、周りを気にすることなく楽しめるお宿。昔ながらの風情をそのままに、広々とした畳の空間でゆったりとすごすことができます。レンジや冷蔵庫が完備されたキッチンも魅力。併設の温泉施設もあります。

うたげHANARE

住所:和歌山県海南市日方1274-76

 電話:073-483-0428

 定休日:なし

 料金:1泊2食付28,000円~(2名~8名)

Column

【熊野古道・大辺路】暮らしと歴史をたどりながら、海を見渡す
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