安涼奈(アリョーナ)さんが歩く令和の熊野詣 熊野古道中辺路リレーウォーク

世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の世界遺産登録20周年を記念して実施する和歌山県主催事業「令和の熊野詣 熊野古道中辺路リレーウォーク」


全6回に渡り、中辺路をリレーウォークし熊野三山を目指す本事業。

その第3回に登山系のYoutube配信を行っている安涼奈(アリョーナ)さんに参加いただいた記録を今回はお送りします!

安涼奈(アリョーナ)さんが歩く令和の熊野詣 熊野古道中辺路リレーウォーク

安涼奈さんプロフィール

1994年、ロシア生まれ。2014年に留学生として来日、2023年に東京大学公共政策大学院修了。

全国47都道府県を巡るうちに、日本の山の魅力を知り、日本百名山を2年半で完遂。現在は会社員として勤務するかたわら、日本三百名山もめざし、登山YouTuberとしても活躍中。
【安涼奈の山登り】http://www.youtube.com/@aryon_yama

【初日レポート】
霧の里高原から熊野の山中へ

今回、安涼奈さんが降り立ったのは、熊野古道中辺路の中でも随一の絶景が望める高原。

前回のありをさんからバトンを受ける形でリレーウォークをスタートします(ありをさんが歩いた熊野古道はこちら→前編後編


高原から本日のゴール「道の駅熊野古道中辺路」までは、約8km、5時間ほどのコース。

各所に点在する王子を訪ねながら、古道らしい雰囲気の山道を心静かに歩くことができる道です。



出発地の高原にて。当日は生憎の曇天だったが、安涼奈さんは元気いっぱい!


高原を出発し、すぐは舗装路の登り道。

ウォーミングアップというには少し厳しめですが、がんばって坂道をゆっくりと登ります。


のどかな田園風景と眼下に広がる果無山脈がとても美しい

安涼奈さんも思わずパシャリ


ほどなくして道は山道へ。

まずは、本日1つ目の王子「大門王子(だいもんおうじ)」を目指します。

道中は案内板がしっかり整備されており、安心して歩くことができる


大門王子は『熊野御幸記(くまのごこうき)』等の記録でも紹介されており、当時は王子付近に仮宿所があったとのこと。

こういった歴史を感じながら歩くのも熊野古道ウォークの魅力の一つです。

大門王子跡。解説板やスタンプ台も整備されている(押印帳についてはこちら


大門王子を経て、気持ちの良い山道を登り降りしながら「十丈王子(じゅうじょうおうじ)」へ。

マイナスイオンたっぷりの澄んだ空気の中、順調に歩みを進めていきます。

空気がとても気持ちいい~!

十丈王子ではスタンプもゲット!


十丈王子を参り、次は「大坂本王子(おおさかもとおうじ)」へ。

道中にはこのコース最高地点で、かつて熊野詣が盛んだった頃には茶屋があったという「上多和(うわだわ)茶屋跡」も。

そっと目を閉じれば往時の熊野詣の賑わいが想像されます。

上多和茶屋跡にて。語り部の説明があれば旅の楽しみも格段にアップ!

休憩中にはめはり寿司を。地元の名産を食べるのも旅の醍醐味の一つだ


十丈王子から約4km、1.5時間程度のウォークを経て本日最後の王子、大坂本王子に到着。ここまで来れば本日のゴールの道の駅はすぐそこ。

大坂本王子

最後は渓流沿いを歩く


ほどなくして道の駅に到着した安涼奈さん。

この日は曇天でしたが、その分、薄暗がりで神秘的な雰囲気の中、熊野古道ウォークを楽しめたよう。


明日はどんな旅路が待っているのでしょうか?

【2日目レポート】
牛馬童子像や「とがの木茶屋」、点在する王子など見所満載のウォークへ

秋晴れの気持ちいい空気の中、2日目は道の駅熊野古道中辺路からウォークはスタート。

本日は、ゴールの道湯川橋バス停まで、約11km、7時間程度のウォークになります。



まずは、熊野古道中辺路でも人気のスポットである牛馬童子像(ぎゅうばどうじぞう)を目指します。

牛馬童子像をかたどった石像がある道の駅熊野古道中辺路。トイレ休憩やちょっとしたお土産を買うのにも最適な場所だ(営業時間等はこちらから)

参加者の皆さんとお揃いの白装束を着て本日は出発


道の駅から牛馬童子像までは1km弱、20分程度。朝のちょうどいいウォーミングアップです。


牛馬童子像は、第65代天皇であった花山法皇(968~1008年)が熊野詣を行った際の姿と伝承されており、その素朴で愛らしい風貌は中辺路のシンボル的存在にもなっています。

実際に訪れてみると、その可愛らしさに癒されるとともに、意外な小ささにも驚かされる

おなじみになったスタンプもしっかりゲット!


牛馬童子を後にして次に目指すは、「近露王子(ちかつゆおうじ)」。

近露王子までは10分程度です。

近露は当時、本宮の手前最後の宿所として栄えた場所で、今もその名残で、民宿やゲストハウスなど様々なタイプの宿を見つけることができます。

近露王子は、数ある王子社の中でも最も早く現れた王子のひとつだ


近露王子からは、これまでの山道と打って変わって舗装路歩きが続きます。


道中には信仰の道であったことが分かるようなお地蔵さんが祀られていたり、目にも美しい季節の草花が咲いていたり、次の目的地の「継桜王子(つぎざくらおうじ)」までは約4kmありますが、飽きずに歩くことができます。

道中では歩行者の安全をお地蔵さんが見守ってくれている

道端にはコスモスの花が


さて、継桜王子到着の前にちょっと寄り道したいのが、野中の清水(のなかのしみず)。

コンコンと湧き出る清らかな水は、いにしえの時代から生活用水としてだけでなく、きっと熊野詣に訪れた人々の喉を潤していたはず。安涼奈さんもホッと一息です。

野中の清水は全国名水百選にも選定されている


名水でパワーチャージをした後は、継桜王子へ。

この日は特別企画として県指定の無形民俗文化財である野中の獅子舞の演舞が。

野中の獅子舞は継桜王子社に伝えられる獅子舞。縁起物の獅子舞にガブりと嚙みつかれてご満悦の安涼奈さん


見事な獅子舞の演舞を楽しんだ後は、継桜王子を参拝し、すぐそばにある「とがの木茶屋」近くにてご昼食。

茅葺屋根が美しいとがの木茶屋。熊野古道歩きの旅人の疲れを癒してくれる

本日のお弁当は道の駅熊野古道中辺路で購入。おいしさに思わずにんまり


さて、安涼奈さんの熊野古道中辺路ウォークも最終盤。

ここからはゴールの道湯川橋バス停まで、「中川王子」、「小広王子(こびろおうじ)」、「熊瀬川王子(くませがわおうじ)」と3つの王子を訪ねます。

中川王子を経て小広王子へ。小広王子までは舗装路歩きが続く。


小広王子を越えた辺りからは再び山道へ。

熊瀬川王子を経て、急なアップダウンに息を切らしながらゴールを目指します。

ここにもお地蔵さんが。古道の雰囲気を感じながら歩く。

雰囲気の良い石畳道。滑りやすいので注意!


最後の急な坂を下りきると、林道に合流し、そこからはバス停まで1km強。

安涼奈さんの熊野詣はいよいよ終わりを迎えます。


「初日は曇り空の中、神秘的な熊野古道の姿を、2日目は晴天で清々しい空気の中、爽やかな熊野古道の姿を見ながら歩くことができました。歩く季節や天気によって違う表情を見せてくれるのも熊野古道の素晴らしさですね」と安涼奈さん。


日により、季節により、訪れる人に変幻自在の姿を見せてくれる熊野古道。

ぜひ皆様もその魅力を感じに熊野を訪れてみてはいかがでしょうか?

最後は2日間ご案内いただいた語り部の皆さんと。お疲れ様でした!

Column

ありをさんが歩く熊野古道中辺路(前編) ~令和の熊野詣 熊野古道中辺路リレーウォーク~
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