世界遺産 高野山とは?見どころや歴史、宿坊など、多彩な魅力を徹底解剖!

約1200年前、弘仁7年(816年)に弘法大師空海が開いた真言密教の聖地、高野山。世界遺産に登録された名所も多く、国内外から訪問者が絶えません。こちらの特集では、高野山の歴史や、なぜ現代まで大切にされているのかなど、その魅力や秘話に加え、宿坊の楽しみ方までを徹底解説します!

世界遺産 高野山とは?見どころや歴史、宿坊など、多彩な魅力を徹底解剖!

「高野山」ってどんなところ?

和歌山県北東部、標高約1,000m級の峰々に囲まれた山上盆地に広がる高野山は、1200年以上に渡り多くの人々の信仰を集め発展した宗教都市。蓮の花びらに例えられる盆地にあり、夏は涼しく過ごしやすい避暑地として知られ、豊かな緑に癒されます。また、冬になると雪で真っ白に染められた景色に、まるで異世界に迷い込んでしまったような神秘的な印象を受けます。

ここに117もの寺院が立ち並び、うち50ほどの寺院が観光客の宿泊や阿字観(瞑想)などの修行体験を受け入れており、非日常を求める訪問者が絶えません。実は高野山は、豊臣秀吉などの戦国武将にもゆかりのある地。弘法大師の教えに触れ心身を癒やすとともに、戦乱の世を偲ばせる感動の旅へでかけましょう。

空海が作り上げた高野山ー戦国時代を経て現代へ続く歴史を知るー

高野山の歴史を紐解けば、訪問時の感慨もひとしおです。


【弘法大師空海の生涯】

空海は宝亀5年(774年)に讃岐(現在の香川県)で生まれました。19歳のときに出家、31歳で中国へ渡航します。驚くことに、僅か8ヶ月で当時の真言密教の最高権威から継承者に選ばれました。33歳で帰国した空海は、国家の安泰、世界平和、修行者のために、真言密教の根本道場を建立する願いを持ち、弘仁7年(816年)に嵯峨天皇より高野山を賜り金剛峯寺を開創。苦しめる者、悩める者を救おうと、全国に教法を広め、承和2年(835年)62歳で禅定(ぜんじょう)=永遠の瞑想に入り、即身成仏をとげました。この空海の入定(にゅうじょう)は、生きながらにして未来永劫に迷える者を救う信仰として広がり、全国に多種多様な伝説をもたらします。


【戦国時代~江戸時代】

戦国大名の菩提寺として高野山の各寺院が参詣者を受け入れ発展する一方、戦乱にも巻き込まれ織田信長、豊臣秀吉の紀州攻めを受け降伏。その後、徳川家の篤い信仰を受けた高野山は再び賑わいを取り戻し、徳川家はじめ諸大名の墓石や供養塔が多く立てられます。


【明治時代~現代へ】

高野山は明治政府により寺領や寺有林を返還・没収され経済基盤を失い、更に大火に見舞われ一時衰退しますが、女人禁制の解除や交通インフラの整備により、徐々に復興をとげ、高度経済成長の観光ブームを経て、2004年には世界遺産に登録。信仰が育む天空の宗教都市として国内外の注目を浴び今日に至ります。

高野山での過ごし方

高野山はユネスコ世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」に登録されており、険しい山岳地帯の大自然に抱かれた聖地は、その文化的景観が高く評価されています。

山上では、朱色の塔や門が美しい壇上伽藍をはじめ、厳かな風情をまとう建築物が立ち並ぶ真言密教の総本山・金剛峯寺、約2kmの参道の先に弘法大師御廟をたずさえ信仰の聖地とされる奥之院の3箇所が必見。

高野山内での移動はバス&徒歩が基本。主要な見どころを巡るなら半日ほど、深くその宗教観や文化を理解するには、宿坊に泊まり修行体験に参加するのがおすすめです。


Column

高野山麓にある世界遺産の社寺仏閣

高野山の麓、九度山・かつらぎエリアにも空海と非常に縁が深い世界遺産があります。空海の母も滞在したとされ、女人高野で知られる慈尊院、これに隣接する丹生官省符神社(にうかんしょうぶじんじゃ)、空海に高野山を授けた女神を祀る丹生都比売神社(にうつひめじんじゃ)まで訪問すれば、あなたは立派な高野山ツウ。

各名所と山上をつなぐ参詣道・高野山町石道はトレッキングコースとしても人気があります。体力に自信がある方は、大自然の中じっくりと自らの足で世界遺産巡りをご堪能ください。

高野山麓にある世界遺産の社寺仏閣

高野山の三大スポット

山上の世界遺産群、密教信仰の真髄に触れる


壇上伽藍、金剛峯寺、奥之院は高野山参詣の王道コース。随所で歴史的な遺構、宗教文化に触れ、真言密教を体感しましょう。

壇上伽藍
弘法大師空海が高野山を開山した際、真っ先に造営に取り組んだ場所であり、密教思想に基づく曼荼羅(まんだら)の世界観を表現するために、多数の塔・堂が建立されています。
壇上伽藍
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金剛峯寺
高野山真言宗の総本山、117寺院の中心であり重要な儀式や法会が行われます。広大な主殿、奥書院を中心に、経蔵、鐘楼など、多くの文化財が現存し、狩野派の襖絵も圧巻。
金剛峯寺
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奥之院
弘法大師空海が永遠の瞑想をされている御廟があります。樹齢千年に及ぶ杉木立の繁る参道には、おおよそ20万基を超える諸大名の墓石や、慰霊碑、記念碑が立ち並ぶ信仰の聖地です。
奥之院
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高野山の宿坊体験

・宿坊とは?

元々は僧侶や参拝者向けの施設でしたが、高野山では50以上の寺院が観光客を受け入れています。戦国武将ゆかりのお寺、美しい庭や襖絵を楽しめるお寺など、歴史や特徴も様々。自分にぴったりの宿坊をみつけましょう。


・宿坊体験の魅力

生きた伝統や文化、信仰心を肌で感じられることが最大の魅力です。静寂の中で行う写経や瞑想といった修行は、自分をみつめなおすきっかけにも最適。また、精進料理も大事な要素。動物性の食材は使わず野菜を中心に構成され、華やかに彩られた季節の旬を味わうことができます。


・宿坊の予約方法

高野山宿坊協会では、電話やWEBフォームで希望する条件にあった宿坊を予約することができます。寺院によっては、直接予約を受けていたり、一般の旅行予約サイトに宿泊プランを出している場合もあります。


・宿坊体験のマナー、過ごし方

大前提は、観光のための施設ではなくお寺です。仏事や僧侶への敬意、礼儀をお忘れなく。到着時に門限や入浴時間、諸注意等をよく確認しましょう。

【一般的なスケジュール】

チェックイン:15時前後/チェックアウト:9時前後

消灯:22時前後/起床:6時前後

※寺院により異なります。

高野山の食の魅力

高野山には宿坊での精進料理以外にも、食の魅力が豊富にあります。高野山の特産品であるごま豆腐、地元産の山菜を使った釜飯、高野山の清らかな水で手打ちした十割蕎麦なども、ぜひお試しください。

また、山麓には休憩にうれしいスイーツ自慢のカフェも。大自然に囲まれた非日常空間で、ゆったり物思いにふけるのも旅の醍醐味です。

Column

古民家カフェから大阪発のうどん店まで、奥之院散策後の空腹を満たそう

観光客の増加に伴い、高野山の飲食施設も選択肢がひろがっています。

おしゃれな雰囲気を味わいたいときは、古民家カフェ「梵恩舎(ぼんおんしゃ)」の洋風ビーガン料理をいただきましょう。

スパイシーな気分なら「光海珈琲(こうみこーひー)」のビーガンカレーがオススメ。

精進料理でお肉が恋しくなったときは一の橋近くにある「かすうどんの河内屋」でかす肉うどんや牛すじ煮込み丼を召し上がれ。


梵恩舎

光海珈琲

かすうどんの河内屋

高野山のお土産

高野山観光の記念に、大切な人へのお土産に、おすすめアイテム&ショップをご紹介。


高野山名物といえば、やきもち。柔らかく薄い餅の中に餡が入っており、ほどよい甘さと柔らかな食感が特徴です。また、一風変わったおまんじゅう「笹巻あんぷ」もお試しあれ。よもぎを混ぜた生麩でこしあんをくるみ、熊笹で包んだ銘菓です。かわいらしい最中や精進料理から生まれたごま豆腐もお土産には最適!そして雑貨・ご利益アイテムなら、定番の御守りのほか、パワーストーンを使った数珠、御香なども売れ筋商品です。高野山のご当地マスコット、「こうやくん」グッズはお子様にも大好評。

上きしや
高野山名物のやきもちの発祥とされ、高野山に上る道中にある花坂店と山内の高野店があります。昔ながらの手焼きで伝統の味を守り続けており、白餅とよもぎ餅の2種類をお召し上がりいただけます。小豆がつぶれないよう弱火でコトコト時間をかけて炊く餡はふっくらと柔らかく風味も抜群。
上きしや
公式サイト
麩善 本店
創業は約200年前の文政年間、高野山でお土産としても人気の高い生麩の専門店。毎日できたての味を提供しています。お料理用のお麩はもちろん、生麩まんじゅう「笹巻あんぷ」も清々しい香り、上品な甘みにファン続出。
麩善 本店
公式サイト
みろく石本舗 かさ國
明治4年(1871年)創業。奥之院にある「みろく石」にちなんだ銘菓で有名なお店です。「みろく石」は弥勒菩薩(みろくぼさつ)が住む浄土から転がり落ちてきた石と伝えられており、撫でると弥勒菩薩との縁を授かると言われる縁起が良いものです。自社製餡だけを使用したこだわりの逸品をぜひ!
みろく石本舗 かさ國
公式サイト
Koya Souvenir 天風
注目の高野山土産のセレクトショップです。天風てらすの1Fにあり、ごま豆腐やクッキーなどのお菓子から、御守りや御香といった雑貨まで幅広い商品を取り扱っています。
Koya Souvenir 天風
一の橋天風 公式サイト
珠数屋四郎兵衛(じゅずやしろべえ)
珠数仏具の専門店。正徳2年(1712)創業、歴史のある老舗ならでは、お遍路用品、高野山みやげも多数揃います。総本山金剛峯寺も御用達のお店です。
珠数屋四郎兵衛(じゅずやしろべえ)
公式サイト

高野山のイベント、年中行事

高野山ならではのおまつりや行事に参加し、より特別な思い出を作りませんか?


高野山は紅葉の名所として秋に観光のピークを迎えますが、1年を通じ様々な行事があります。貴重な光景を見逃さないよう旅行計画の際は最新情報をチェックしましょう。

ところで、奥之院では訪問日程を選ばず拝観できる儀式があるのをご存知でしょうか。1日2回、朝の6時と10時30分に行われる「生身供(しょうじんぐ)」は御廟の弘法大師空海に食事を届ける儀式であり、一般の参拝者も見ることができます。

なお、毎月20日は「青空瞑想」「お逮夜(たいや)ナイトウォーク」、21日は「報恩⾼野市」「大数珠繰り祈願会」を開催、こちらも日程が合えばぜひご参加ください。

3月「高野の火まつり」
高野山で春の訪れを告げ、山開きの合図ともされる恒例の行事。摩木をたき人々の招福と厄よけを祈願する荘厳な法会を多くの参拝客が見守ります。
3月「高野の火まつり」
高野町観光協会 公式サイト
6月「青葉まつり」
弘法大師の誕生をお祝いする降誕会法会(ごうたんえほうえ)、通称青葉祭では、弘法大師の木像を乗せた御堂をひく「花御堂渡御(はなみどうとぎょ)」の行列など、大変な賑わいを見せます。
6月「青葉まつり」
高野山宿坊協会 公式サイト
8月「ろうそくまつり」
お盆の夜に行われる先祖の御霊を供養するお祭りです。数十万基とも言われる墓碑が眠る奥之院に十万本のローソクが灯され、辺りは幻想的な世界に包まれます。
8月「ろうそくまつり」
高野山宿坊協会 公式サイト

高野山を歩いて巡る

【高野参詣道とは?】

真言密教の聖地「高野山」に、徒歩で登拝するための参詣道。高野七口と呼ばれる7つの主たる道があります。


【高野参詣道の主なルート】

・町石道:高野山奥之院御廟への参詣道のうち、空海が切り開き、その後も最もよく使われた主要道で、九度山町の慈尊院が起点。

・女人道:かつて高野山境内に立入ることが許されていなかった女性たちのための道。奥之院背後にそびえる魔尼山・楊柳山・転軸山の高野三山を巡ります。

・黒河道:江戸時代に交通の要衝であった橋本から高野山へと向かう最短経路で、かつて、豊臣秀吉も通ったとの記録も。長く険しい道のりで難所も多い上級者向けコース。


【高野参詣道の歩き方】

・動きやすい服装:足元はトレッキングシューズがベスト、帽子などで日焼け、熱中症対策もしっかりと。

・気温に注意:平地より気温が低い高野山、特に朝夕は急な気温低下に備えましょう。日没も早いので無理なスケジュールは禁物です。

・マナーを守ろう:登山道は原則的に上りが優先。ゴミはすべて持ち帰りましょう。

高野山へのアクセス

【大阪~高野山:乗り換え時間含め約2時間20分】

新大阪ー大阪市営地下鉄御堂筋線 約20分ー難波ー南海電鉄高野線 約90分ー極楽橋ー南海電鉄高野山ケーブル 約5分ー高野山


【京都~高野山:乗り換え時間含め約3時間】

京都ーJR東海道山陽本線 約30分ー大阪ーJR大阪環状線 約16分ー新今宮ー南海電鉄高野線 約90分(途中橋本駅で極楽橋行きへ乗り換え)ー極楽橋ー南海電鉄高野山ケーブル 約5分ー高野山


【奈良~高野山:乗り換え時間含め約2時間45分】

奈良ーJR大和路線 約40分ー新今宮ー南海電鉄高野線 約90分(途中橋本駅で極楽橋行きへ乗り換え)ー極楽橋ー南海電鉄高野山ケーブル 約5分ー高野山

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紹介したスポットのマップはこちら

  • 壇上伽藍
  • 金剛峯寺
  • 奥之院
  • 上きしや
  • 麩善 本店
  • みろく石本舗 かさ國
  • Koya Souvenir 天風
  • 珠数屋四郎兵衛(じゅずやしろべえ)
  • 3月「高野の火まつり」
  • 6月「青葉まつり」
  • 8月「ろうそくまつり」
  • 戦国紀州~江戸時代の足跡に触れる、歴史ロマン溢れる和歌山城探訪!
  • 山奥の秘湯、豊かな自然に抱かれた龍神温泉で美肌になろう
  • 自然崇拝の起源を巡る、古来より人々を惹きつけた熊野詣へ

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動画で見る高野山の魅力

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